R2 第4回役員会
総会への上程議案を審議
三島建設業協会(小野徹会長)は3月11日、令和2年度第4回役員会を三建大会議室で開き、臨時総会に諮る令和3年度事業計画案などについて協議した。
冒頭、あいさつに立った小野会長は、東日本大震災での犠牲者とその遺族に対し哀悼の意を表した後、当協会は創立70周年を期に、「決意も新たに、理想を胸に団結で生き抜く」ことをスローガンにしているので、できるだけ皆さんの集まりを多く、緊密にしたいところであるが、コロナ禍で、とてもそんな状況ではない。というわけで、総会については、会員の皆さんから、役員会への「委任状」を提出願って、ご承認をいただくことになった。特に、新会員3社の皆さんには、せっかく入会していただいたのに、こうしたことになりお詫び申し上げる。
静岡県建設業審議会が、令和2年12月22日に開催された。そもそも、この県の審議会は、二宮元会長が、その存在を「三建だより」に書いたことにちなんで、私が強く再開を訴えていたものであるが、歴代の審議会委員長が、一般代表の方も参加しておられるので、できるだけ実施目標を、長期・短期別に、実施状況の評価もするように誘導したことから、県はいつも自分に都合のよい数値を挙げて、「具体的な方策の実施状況」を説明する。そこで私も、できるだけデータをもとに、分かりやすく発言するよう努めているが、例えば「平成25年度の東日本建設業保証の決算分析で、『総資本経常利益率』が東日本で最低、特に『売上高経常利益率』は静岡県だけが唯一のマイナスで、△0.41%、東日本で最低だった。つまり、マイナスでは、何のために仕事をしているのか、分からない」というようなことを言い続けてきた。
そうして訴え続けてきた成果があったのだろう。先に、東日本建設業保証から発表のあった「令和元年度財務統計資料」によると、かって最下位だった「売上高経常利益率」が一段と向上し、東日本の平均値を上回るところまで来たことには、当局のご努力に感謝申し上げたいと思う。
しかしながら、企業の健全性を示す「自己資本比率」は、依然として東日本で最低で、全国でも最低であることは変わりなかった。平準化への積極的な取組等、県のご努力には敬意を表するが、全国でも最低の「脆弱な企業体質」を改善するところまでは至っていないということである。まだまだ改善すべき点が多いということである。
また、帝国データバンク12月1日付の「静岡県後継者不在企業・動向調査」も取り上げた。それによれば、2020年の静岡県内企業の後継者不在率は60.7%だそうで、業種別では「建設業」が70.4%と、最も高いということだった。こういった論拠をもとに、県の施策について注文を付けてきたが、残念ながら、私の任期が10年にもなったということで、審議会委員を退任しなければならなくなった。しかし、別の機会もあるので、これからも発信を続けて行きたいと思う。
1月28日に、県建協と県交通基盤部とで意見交換会が開催された。皆さんからは、いつもこれに先立って「意見・要望」を出していただくのだが、様々なご意見をありがたいと思っている。県からは、「働き方改革」に関連して、4月以降、毎月第2土曜日を「ふじ丸デー」として、国・県・市町が一体となって県内の公共工事を一斉に休工する取り組みが発表された。
当然ながら、これまで通り、「ふじ丸デー」とは別に、週休2日実施のための経費は計上される。また、「働き方改革」のための①適正な工期設定や、発注の平準化を進める②ワンデーレスポンス、また週明けを回答期限日としない等の「監理タイムマネジメント」に取り組むそうである。
協会からは、毎度のことであるが、多くの要望・意見が出された。主なところでは、①道路除草の施工面積が減ってきている問題、②建設キャリアアップシステムと建退共の一体化の問題、③設計図書と現場条件が合致しない場合の休日・工期の考え方の問題、④実勢価格に基づく予定価格の設定の問題、⑤施工時期の平準化の問題、⑥ICТ活用工事に小規模の積算基準を導入する問題、⑦応急災害復旧工事の支払時期の問題、⑧遠隔臨場の問題などが話し合われた。
遠隔臨場については、50件の工事実績があり、その効果が官民で認識しているものの、発注者側が馴れていないなど、準備が遅れているとの回答があった。
私としては、いつもの通り、「せっかく施工箇所や時期が具体的に公表されても、過酷な競争条件下では、仕事が取れるかどうか分からないので、経営計画が立てられないから、結果的に経営力を高め、足腰を強くすることができない。知事が明言しているように、地域をよく知り、地域に愛着を持つ業者で、10者程度が参加できる資格要件を設定するような『社会実験』をお願いしたい」と発言しておいた。
同じく1月28日には、私の知る限り初めてと思うが、営繕関係の幹部との意見交換会があった。これは、営繕関係では、不調・不落工事が3割にもなるということで、この解決のために催されたものである。
営繕も参加想定者数を20者と、過酷な業者数は土木の方式と変わらないが、何とか不調・不落を無くそうと、その場合には、ランクを広げ、地域を広げて、業者の参加を募っているが、うまくいかないとのことであった。県から業者に対して、地域を広げて参加者を募った場合、「遠方からの業者は、経費がかかって大変だから、工事に魅力を感じないのか」といった質問に象徴されるように、自らの積算に疑いを持たずに、業者側に、「ただ安く落札してくれればいい」の姿勢がみられて、改正品確法のポイントである「発注者責務の明確化」の中の、「建設企業が、担い手の中長期的な育成・確保のための適正な利潤が確保できるような、予定価格の適正な設定をする」という考え方が、全然感じられなかった。
個別の内容としては、①設計書が、まだ参考資料扱いになっている問題、②県単価と実勢単価の乖離の問題、③追加変更がなかなか認められない問題、④ワンデーレスポンスになっていない問題、⑤工期設定の問題、⑥遠隔臨場の不備の問題等が話し合われた。結果的に、県側の情報収集不足、業界との対話・意思疎通の不足など、多くの課題が見つかり、こうした意見交換会をこれからも続けていこうとの結論になったので、期待していきたいと思う。
以上、最近の情勢についてお話ししたが、本日は理事・監事の選任や、入会希望者の審議、また令和3年度の事業計画案、収支予算案等、重大な審議事項があるので、皆様方のご意見をお聞かせいただきたい」と述べた。
役員会では、令和3年度事業計画案、収支予算書案などを審議し原案通り臨時議会への上程を決めた他、新規会員として加入希望を申し出たオザワ(伊豆市)の入会を承認するとともに、役員2人の退任に伴い新たな役員として、理事に中西芳弘氏、監事に渡辺浩三氏を選出した。