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R4 新春座談会

若者、女性力で無限大の地域活性

新型コロナウイルス感染拡大に伴う観光需要の落ち込みで、観光を主産業とする伊豆半島への影響が深刻である。一方で、自然豊かな環境でストレスなく仕事ができる「ワーケーション」の場として注目されており、1月に開始する大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の舞台になることから、伊豆がより脚光を浴びる機会となり、それが活かされるチャンスが来ている。ウィズコロナ時代を切り拓いていくためには、そのポテンシャルを活かしつつ、若者や女性が知恵や発想を発揮できる機会づくりが不可欠だ。そこで今年の新春座談会では、伊豆の各地で活躍する若手や女性をゲストに招き、それぞれの立場から伊豆の現状や今後の課題や対策、今後の方向性などについて語ってもらった。

【出席者】
・静岡県交通基盤部理事兼沼津土木事務所
所長 池ケ谷規文氏
・静岡県静東教育事務所
所長 中川 恵氏
・一般社団法人三島田方法人会青年部
部会長 原 兄多氏
・一般社団法人伊東青年会議所
理事長 小川健一郎氏
・株式会社エフエムみしまかんなみ
営業部課長 小坂真智子氏
・リングロー株式会社  中瀬 寧々氏
・一般社団法人三島建設業協会 広報委員 座談会司会 出口 直樹氏
・一般社団法人三島建設業協会 会長 小野 徹氏
【司会】
・一般社団法人三島建設業協会 広報委員会委員長 山本 裕二氏

伊豆の魅力をまずは自分たちで

山本 あけましておめでとうございます。本日はお忙しいところ新春座談会にご出席いただき、ありがとうございます。今回は「若者、女性力で無限大の地域活性」をテーマに皆さまに語っていただきたいと思います。開会に当たり、小野会長からごあいさつをお願いします。

小野 観光を中心とする伊豆半島の経済が新型コロナの影響で大きく落ち込みました。しかし、そうした中で今後に期待ができる『良い芽』も出てきたと感じています。テレワークやリモートワークの普及により、都心へのアクセスも良く、満員電車のストレスもなく、良い眺望を眺めて仕事ができることから注目されておりますし、今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が韮山でスタートすることからも文化・歴史があふれる場所としても恵まれた地域であります。「ウィズコロナ」時代を生き抜いていくためにも、こうした素晴らしい土地柄を活かさない手はありません。地域活性化には「よそ者・わか者・ばか者」の力が必要と言われていますが、加えて女性の知恵や発想も不可欠であると考えます。本日の座談会では、各地域で活躍する若手や女性にお集まりいただきました。皆さまには建設的な素晴らしい意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

出口 今日は伊豆半島でそれぞれ異なる地区にお住まいか、あるいは職場がある皆さまにお集まりいただいています。まずは伊豆地域の魅力をお聞かせください。

 来年4月に行われる法人会女性部会の全国大会は静岡市を中心に行われる予定でして、そこで静岡県内のツアーを企画するのですが、伊豆地域は歴史・文化遺産を巡るツアーが組まれていることから、県内他地域に負けないくらい歴史的な魅力がある地域と感じています。また三島田方は鉄道でつながっていることからも一体感のある地域と感じており、今後も一緒に発展していけると思っています。

中瀬 当社で旧土肥小を活用した「土肥集学校」のプロジェクトがはじまることから、昨年の夏に神奈川から土肥地域に移住して参りました。景色も良く常に開放された空間で、リラックスして仕事をすることができるという印象を持っています。また美味しいものも多くグルメも楽しもうと思っています。

小坂 美味しい空気と水、景色など自然豊かな場所で生き生きと働いていらっしゃるというイメージです。また仕事柄多くの方々にお会いするのですが、一人ひとりの方が地域に誇りを持っていらっしゃると感じました。伊豆に愛着があるので、都会にあこがれて上京しても、ある程度の年齢になると帰ってくる方も多いですよね。

小川 私が住んでおります伊東の魅力は温泉です。温泉の1分間あたりの涌出量は別府、湯布院に次いで全国3位です。温泉はかけがえのない財産だなと思い日々を過ごしております。また、私は伊東市の行政改革懇談会の委員を務めておりまして、そこで先日市民満足度調査を行いました。その結果を見ますと、安全で美味しい水の安定供給、ごみ対策の充実、消防・救急体制が強化されている点が満足度の上位に挙げられていますね。

池ケ谷 伊豆北は地産地消が進んでいると感じています。山・川・海と自然豊かで美味しいものもたくさんあり、温泉も各地であります。また伊豆箱根鉄道もあるので、その沿線は公共交通が網羅されていると思います。

出口 皆さまのお話しを伺いますと歴史・文化遺産が豊富であること、働きやすさ、郷土愛、豊かな自然環境などがあげられ伊豆半島には地域ごとにさまざまな魅力があるということがわかりました。一方で少子高齢化に伴いさまざまな課題も抱えています。それぞれの立場から見た課題をお聞かせください。

中川 推計上今後も東部地域では子供の数が減少していきます。児童・生徒数が令和9年度には令和3年度の8万5000人から7万2000人まで落ち込んでいく試算が出ています。特に伊豆では統合により、天城中と中伊豆中がなくなりますし、伊東も東小、西小、旭小も廃校を控えています。学校が今後4~5年で10校以上なくなるなど学校が地域から姿を消していってしまうことに危機感を感じています。

 われわれ法人会でも小・中学校を回り税の大切さを伝える「租税教室」という活動を行っております。特に伊豆市も学校がどんどん統廃合されていますよね。また、都心に出た若者が帰ってこないという問題もあります。

小川 さきほど申し上げた市民満足度調査で不足している点として企業支援・企業家の育成、バス鉄道など公共交通網、企業誘致を通した雇用の確保などが挙げられています。

池ケ谷 伊豆箱根鉄道沿線以外では公共交通網が不足している点に加え、昨年の2020東京五輪のレガシーとして残した自転車通行区間が伊豆に限らずございますので、地産地消などとそうした潜在的な魅力をどう活かし、繋げていくかが重要だと考えます。

出口 女性の視点から見て感じている課題はありますか

小坂 私としては子育ての渦中にありまして、母親になってから出産前と同じように働くことができない点を歯がゆく思っています。地方の中小企業では人数が少ないので、一人減ってしまうと周りへの負担が大きくなってしまいます。一方で休みにくいといったことはありませんし、今後同じ境遇の方がいたときに子育てを乗り越えて助言ができるようになりたいです。

中瀬 私はまだ入社したばかりですが、当社では産休を経て復帰している社員も多いので女性にとっては働きやすい環境だと感じています。

中川 直線型のキャリアだけではなく、子育てを経験しながら歩むキャリアがもっとあってもいいのかなと思いますね。

出口 若い方が地元に戻ってこないことや雇用の問題、伊豆の潜在的な魅力をどう活かすのかといったさまざまな課題がありますね。改善に向け、それぞれ皆さまが実践されている対策や意見などがあればお聞かせください。

若者回帰へ地元企業知る機会を

 若者が戻ってこないという課題はそもそも地元の企業を知らないという要因が大きいと思います。そこで法人会では伊豆総合高校で就職ガイダンスを開催しました。そこで就職につながらなくても、地元に素晴らしい企業があるということを伝えることで将来的には学生が地元に戻ることにつながればいいなと思っています。

小川 伊東青年会議所でSDGs(持続可能な開発目標)の目標14「海の豊かさを守ろう」を推進しておりまして、この活動の中で未利用資源を活用した取り組みも行っていきたいですね。また中瀬さんが取り組まれている廃校活用も地域活性化に有効だと思います。

中瀬 ありがとうございます。私どもの他にも県外の企業が土肥地域の空き家を活用して事業を行っていますので、そういった企業や地元の方と一緒に何か企画して地域を盛り上げていきたいです。

出口 県外から人に来ていただくためにはまずストレスのない交通網を整備することも大変重要と感じますがいかがでしょうか。

池ケ谷 そうですね。伊豆縦貫自動車道が全線開通すれば沼津ICから下田まで現在90分要しますが、これが60分で行けるようになります。これにより連携交流や地産地消が行き交うといったことが道路整備により期待できると思います。

小野 伊豆にはさまざまな魅力があるのですから、外からのお客さんだけを頼りにするのではなく、まずは自分たちが楽しむことを考えても良いのではないでしょうか。

中川 静岡の方は県民性から、観光客を優先して「どうぞ先に楽しんでください」という気持ちを持っている方が多いと感じます。現在小・中学校では生徒たちがシュノーケリングやパラグライダーを体験する機会を設けていますし、小野会長の言う通り、まずは地元の人が楽しむことが大切だと思います。

小坂 確かに幼少期に遊びでもっと地元を体験できる機会があっても良いと思いますね

出口 やはり子どもたちに地元を感じてもらうこと、私たちがまずは楽しむことが大切ですね。皆さま貴重な意見をいただき、ありがとうございました

山本 それでは、建設業に対する期待や今後の抱負など最後に一言ずつお願いします。

 建設業に期待することは異業種への参入です。今日話題に上がった廃校の活用に関しては伊豆地域でも大きな課題になっていると思いますので、建設業の方が自ら手を挙げて地域を盛り上げてくれたらうれしいです。

中瀬 「地元の人のほうが地元の良さを知らなかったりする」といったお話が印象に残っています。私にとっては伊豆は何もかも新鮮で、外から来たからこそ伝えられることもたくさんあると感じましたので、今後地域の魅力を発信する機会を当社のプロジェクトとして提供していきたいと思います。

小坂 当社はラジオという形や色が伝えられないメディアではありますが、「声」を届けられる機関として皆さまと関わっていきたいです。

小川 われわれ青年会議所では地域の青年が地域の課題を解決するために行動する必要があるので、そのためのヒントになるお話を多くいただき大変勉強になりました。

中川 他県で教職員をされている方が、旅行で静岡を訪れたことをきっかけとして静岡県で教員採用試験を受けている方が少しずつ増えてきています。厳しい状況は続きますがコロナを追い風にして地域が活性化していければいいなと思っています。

池ケ谷 地域に貢献したい、社会に貢献したいといった若者は多くいます。ここ静岡ではその環境や人材が十分にありますので、いかに能力や効果を引き出していくか、それを支える総がかりの仕組みや役割が重要と思っています。そういったことにも尽力していきたいと思います。

山本 今日は長時間にわたり貴重なお話をありがとうございました。最後に小野会長から謝辞をお願いします。

小野 きょうはさまざまな世代・職業の方にお集まりいただき、多様なお話を聞くことができました。もっと吟味を重ねていけばもっと良いお話になるのではないかと思います。正月号にふさわしい大変有意義な意見交換でした。本当にありがとうございました。

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