第23回水シンポジウム2018inふじのくに沼津 開催
パネリストとして土屋副会長が登壇
第23回水シンポジウム2018inふじのくに沼津が8月23日、沼津市のプラサヴェルデで開催された。
この中で「狩野川台風から60年、これらの水害への心得と備え」をテーマとした第2分科会のパネルディスカッションに土屋龍太郎三島建設業協会副会長兼土木・災害対策委員長がパネリストとして出席した。
土屋委員長は「本業をやりながら瞬時に非常事態態勢に切り替えるのは簡単ではないが、持てる力を最大限に生かして地域に貢献していきたい。そのためにも各会員の連携が大切である」と意見を述べた。
『三建だより』平成30年10月1日号にコラム掲載
「水シンポジウム」
一般社団法人三島建設業協会 副会長兼土木・災害対策委員長 土屋 龍太郎
建設業協会は、異常気象時の現地パトロールによって地域の被災状況を収集し、被害の軽減と拡大防止等の作業に従事することを、国・県・市町等と取り決めていますが、建設業の立場から懸念していること、備えていること或いは官民で取組まなければならないこと等についてお話いたします。
近年頻発している短時間記録的大雨、ゲリラ雷雨等への対応は難しいこと、従事者は気象情報を注視しながら自宅待機しており、動き出すとしても現着まで時間がかかってしまうので、結果的に出遅れにより、被害が拡大してしまうことを危惧しています。
対策として、情報共有、事前準備、業務改善に取り組んでいます。
弊社では、職員並びに協力会実務者(ダンプやクレーンのオペ)に、同時配信するメール網によって、初動時からその後の状況変化を共有しています。自宅にいながら、夫々の立場での対応を考え準備できるという仕組みです。
次いで、協会の委員会メンバーに、災害或いは緊急専用アドレスを設けて、代表者や実務担当者が同期或いは転送により受信できる体制整備を提案しました。三島建設業協会の災害専用アドレスでは、委員会所属会員25社と実務者61名が同時受信する仕組みであります。
狩野川本支川の危険個所の把握と、そこに至る各社の拠点や資機材の備蓄箇所からの経路を、定期的に確認しています。併せて、夫々の備蓄資材類や重機類の管理と所在の把握等に、留意しています。
災害対応に向けて万全の備えができない我々が、通常業務から一気に災害対応に移行するには、業務の仕組みの高度化が不可欠だという認識であります。併せて、働き方改革の一環として職員間の情報共有を促進、スケジュール管理等を進めていますが、これも経営の高度化に寄与するものと捉えています。
実際に何ができるか、シミュレーション・訓練が不可欠という視点です。テックフォースへの積極的参加や被災地支援や視察を通じて、体験を増やす取り組みを続けています。東日本大震災の復興時には、伊豆の国市と友好関係にある宮城県多賀城市の行政サービスを代行支援しました。被災地を体感する事で、被災想定の幅が広がり心の準備が出来ると考えています。
堤防の中も外も満水状態の時に、堤防上でなにができるかという議論です。特に支川が課題、大型機械を堤防上に置けるか等を問題視しています。
通常の工事は綿密な施工計画、応急対策では臨機な対応が求められます。それができるのは、現場の施工経験が豊富な指揮官、ベテラン技術者です。喫緊の課題として、次世代への備えをしなければなりませんが、若手技術者は、IT、IОT等の新技術に対応する能力を持っていますので、単なる経験の積み重ねを超えた対応ができるかもしれません。
被災が大規模になれば、多くの企業が連携して対応することが求められます。三建の土木委員会は、管内5市1町の有力企業の実務指揮官・代表者や土木部長等によって構成されています。このメンバーの相互理解が、非常時の連携を担保すると確信しています。また、対応の継続という観点から、若手の経営者・技術者の交流を呼び掛け、『いざという時、顔も名前も戦闘力も知っている強み』を模索しています。
従前の受発注者間の協議は、公共事業の執行をより効率的に実施するために行われて参りましたが、建設産業政策2017+10が、発注者の理解と協力を大前提としていることに鑑み、『地域をどう守るか』『地域と建設産業の未来』をテーマとした協議が、活発化することを期待しております。